中国、世界最小の高出力マイクロ波駆動装置を開発──スターリンク妨害兵器への転用も視野

中国、世界最小の高出力マイクロ波駆動装置を開発──スターリンク妨害兵器への転用も視野

Title: China’s Military-Linked Lab Develops World’s Smallest High-Power Microwave Driver — Potential to Disrupt Starlink Satellites

Summary: China’s Northwest Institute of Nuclear Technology (NINT) has developed a compact high-power microwave weapon driver called TPG1000Cs, capable of generating 20 gigawatts of power. Small enough for truck or aircraft mounting, the device could potentially disrupt low-Earth-orbit satellite networks such as SpaceX’s Starlink, marking a significant step in China’s counter-space capabilities.


中国人民解放軍系の研究機関「西北核技術研究所(NINT)」(陝西省西安市)の研究チームが、高出力マイクロ波(HPM)兵器の中核となる世界最小の駆動装置「TPG1000Cs」を開発した。研究論文は国内学術誌『強激光与粒子束(High Power Laser and Particle Beams)』に掲載され、2月5日に香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が報じたことで注目を集めている。

HPM兵器は強力なマイクロ波を照射して電子機器を無力化する指向性エネルギー兵器。物理的に破壊する通常兵器と異なりスペースデブリ(宇宙ごみ)を発生させず、攻撃の痕跡も残りにくいため、攻撃の事実を曖昧にできる「否認可能性」を持つ点が戦略上の特徴とされる。

中国・西北核技術研究院が世界で初めて開発した高出力マイクロ波兵器用の小型駆動装置(SCMP)

 

「スターリンクの悪夢」となるか

論文によると、TPG1000Csは全長4メートル、重量約5トンで、トラックや艦艇、航空機への搭載が想定できる大きさだ。出力は20GWで、連続1分間の安定動作を実証したという。従来の同種装置は数秒の稼働が限界で重量も大きく、兵器への搭載は困難だった。

SCMPは本装置を「スターリンク最悪の悪夢になりうる」と表現した。中国の専門家の間では、出力1GW以上の地上配備型マイクロ波兵器でスターリンクなど低軌道衛星の通信機能をかく乱できるとされており、TPG1000Csの20GWはその閾値を大きく超える。

中国では近年、スターリンク衛星群を安全保障上の脅威と位置づける研究が相次いでおり、本装置もその流れに位置する。スペースXが衝突回避のため衛星の軌道高度を下げたことで、地上からの指向性エネルギー攻撃に対する脆弱性がかえって増したとの指摘もある。

ただし、TPG1000Csはあくまで兵器システムの「駆動源」であり、完成した兵器ではない。アンテナや追尾システムの統合など実用化までの課題は残る。それでも、ウクライナ戦争で通信インフラを支え軍事的価値を証明したスターリンクに対し、中国が具体的な対抗技術を着実に進めている事実は、宇宙領域の安全保障環境が新たな段階に入りつつあることを示している。

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