Title: South Korea’s Sejong Institute Analyzes 2026 NDS Impact on Korean Peninsula — Urges Caution on “Acheson Line” Comparisons
Summary: South Korea’s Sejong Institute has published an analysis of the 2026 U.S. National Defense Strategy, which designates South Korea as bearing “primary responsibility” for deterring North Korea with “critical but more limited” U.S. support. While some observers warn of a new Acheson Line — the 1950 U.S. defense perimeter that excluded Korea and is believed to have emboldened the North’s invasion — the Sejong analysis takes a more measured view, noting that U.S. engagement, including the nuclear umbrella, is expected to continue. However, the report cautions that weakened language on extended deterrence risks sending the wrong signal to Pyongyang.
韓国の世宗研究所2月9日、「米国国防戦略(2026 NDS)核心内容と政策的示唆点」と題する政策ブリーフを発表した。執筆者は申範澈(シン・ボムチョル)首席研究委員で、元国防部次官の経歴を持つ朝鮮半島安保の専門家。本ブリーフは、1月23日に公表された米国の2026年国家防衛戦略(NDS)が朝鮮半島情勢と米韓同盟に及ぼす影響を多角的に分析したものだ。
NDSの韓国への要求——「主要な責任」の意味
2026年NDSは、「柔軟なリアリズム」を掲げ、米国本土防衛と中国抑止を最優先課題に設定した(本誌の解説記事、NDS全訳参照)。同戦略は朝鮮半島を独立した戦略区域として切り分け、韓国が「米国からの不可欠だがより限定的な支援のもとで、北朝鮮を抑止する主要な責任を担う能力がある」と明記。韓国の強力な軍事力、高い国防費支出、堅固な防衛産業、義務徴兵制をその根拠としている。
申範澈首席研究委員の分析は、このNDSの内容から朝鮮半島への政策的示唆として、次の3点を導き出した。
第一は、対北抑止に関する高強度の米韓間調整の必要性。第二は、拡大抑止(核の傘)の完成度向上。第三は、米韓同盟における相互の期待値を均衡させる措置である。特に北朝鮮については、韓国と日本に対する「直接的な軍事的脅威」であり、米本土を打撃し得る核能力を保有すると評価していながら、バイデン政権のNDSとは異なり「北朝鮮の非核化」を明記しなかった点に注目している。
「アチソンライン再来」論への冷静な視座
NDSが朝鮮半島防衛の主要な責任を韓国に委ねたことについて、韓国内外で1950年のアチソンライン再来を懸念する声がある。当時、ディーン・アチソン国務長官が米国の極東防衛線から朝鮮半島を除外したことが、北朝鮮の南侵を誘発したとされる歴史的教訓だ。日本国際問題研究所の分析も、朝鮮半島が第一列島線の外側に位置づけられた構造を指摘しており、同盟国の防衛意志に曖昧さが生じるリスクは否定できない。
しかし世宗研究所の分析は、こうした単純な類推に対して慎重な姿勢を取っている。
NDSは韓国が対北抑止の「主行為者」となることを求めるが、これは米国が完全に手を引くことを意味するものではない。「不可欠だがより限定的な支援」という表現は、核の傘を含む米国の関与が継続することを前提としている。また、同盟国の負担分担強化は朝鮮半島だけでなく欧州や中東を含むグローバルな方針であり、韓国を選択的に放棄するものではない。
申範澈首席研究委員はこのように分析した上で、韓国がこの変化を自主国防の強化と対米レバレッジの拡大につなげる戦略的対応が求められるとの見方を示している。
ただし、拡大抑止に関する直接的な文言が弱まったことは、北朝鮮に誤ったシグナルを送るリスクをはらむ。1950年の教訓が示すように、同盟国の防衛意志に曖昧さが生じたとき、敵対勢力がそれを戦略的機会と解釈する危険性は常に存在する。米韓両国が抑止態勢の隙を生じさせない高強度の調整を継続できるかが、朝鮮半島の安定を左右する鍵となるだろう。

