台湾、中国スパイの台湾人2名を起訴——若手政治家をターゲットに情報収集を企図

台湾、中国スパイの台湾人2名を起訴——若手政治家をターゲットに情報収集を企図

Title: Taiwan Indicts Two Taiwanese for Spying for China—Targeting Young Politicians for Intelligence Gathering

Summary: Taiwan’s High Prosecutors Office indicted Taiwanese businessman Zheng Mingjia and former Executive Yuan official Hu Pengnian on January 26 for building spy networks for China’s United Front Work Department. Zheng exploited Hu’s fear of losing his job in China to recruit him for espionage. Notably, Chinese handlers instructed them to specifically target young newcomers to politics across all parties for long-term infiltration. Authorities warn that China’s intelligence operations are evolving with expanding target ranges.


台湾高等検察署は1月26日、中国共産党統一戦線工作部のために台湾国内でスパイ網を構築したとして、台湾人ビジネスマンの鄭明嘉と、行政院(内閣)公共関係科の元科長、胡鵬年を国家安全法違反で起訴した。検察は鄭に対し10年以上の重刑を求刑している。台湾主要メディアが一斉に報じた。

中国でのビジネスと職が「人質」に

鄭明嘉は2008年に中国広東省広州市で起業した台湾人ビジネスマン。中国での事業利益を守るため、2016年から統一戦線工作部傘下の外郭組織「広州台湾青年之家」会長や「広東海外聯誼会」青年部副主任を歴任した。広州市政治協商会議の列席委員にも任命され、中国の対台湾工作に深く関与するようになった。

2021年、鄭は広州の大学「南方学院」で教職に就いていた胡鵬年に接触する。胡は行政院公共関係科の元科長で、退職後に中国へ渡っていた。鄭は胡が中国での職を失うことを恐れる弱みにつけ込み、統一戦線工作部の職員で党中央対台工作グループ幹部の「陳彦達」(仮名)と引き合わせた。陳は胡に直接任務を与え、台湾で現役・退役軍人に接近して軍事機密を収集するよう指示した。

その後、鄭と胡は複数回台湾に帰国。町内会長や公務員OB、国防部請負業者などに接触し、一部には中国への渡航を促して陳との面会を設定した。陳が対象者と直接会って「認証」を行い、その場で任務を与える仕組みだったという。また胡は行政院時代に立法院(国会)との連絡調整を担当しており、その際に築いた政界人脈を活用して国会関係者に接触したが、ほとんどの者が協力を拒否したため、スパイ網の構築には至らなかった。

スパイ罪で逮捕された元行政院幹部の胡鵬年(中央通信社)

狙われた「若手政治家」——進化する浸透工作

注目すべきは、中国のスパイ活動のターゲットが従来の軍人中心から大きく拡大していた点だ。陳は胡に対し、「政界に入ったばかりの各党派の若い世代」を重点的に狙うよう指示していた。防諜機関である法務部調査局は「若手を党政府機関や立法機関に潜伏させ、長期的に機密情報を入手する狙いがあった」と分析。中国の情報工作手法が進化し、対象範囲も広がっていると警鐘を鳴らす。

捜査は調査局台北市調査処が端緒を掴み、高検署指揮の下で台北、台南、高雄、新竹の各調査機関が連携して進められた。2025年9月から4回にわたり14カ所を捜索し、押収した携帯電話からWeChat上でのスパイ網発展に関する証拠を確保した。鄭と胡は同月末から接見禁止で勾留されている。

検察は、容疑を否認し続ける鄭に10年以上の重刑を求刑。罪状を認めた胡には適切な量刑を求めるにとどめた。

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