中国、米国が解禁したAI半導体の輸入を事実上禁止——国産半導体育成か交渉カードか

中国、米国が解禁したAI半導体の輸入を事実上禁止——国産半導体育成か交渉カードか

米国商務省産業安全保障局(BIS)が2026年1月14日にNVIDIA H200の対中輸出を条件付きで許可した直後、中国政府が同チップの輸入を事実上禁止したことが明らかになった。ロイター通信が同日、関係者3名の話として報じた。米国の「輸出緩和」に中国が「輸入規制」で応じる形となった。

米国の輸出緩和と中国の対抗措置

米商務省BISは1月14日、NVIDIA H200およびAMD MI325Xについて、従来の「原則不許可」から「ケースバイケース審査」への移行を発表した。米経済専門局CNBCによれば、トランプ大統領は販売額の25%を米国政府が徴収すると発言。昨年12月8日の方針表明時には「習近平国家主席は肯定的に反応した」とTruth Socialに投稿していた。一方、バイデン政権でNSC技術・国家安全保障担当ディレクターを務めたサイフ・カーン氏はNBC Newsに「約200万個の先端AIチップが中国に流れる可能性がある」と懸念を示している。

これに対し中国は即座に対抗措置を講じた。ロイターによると、中国税関当局は「H200の輸入を許可しない」と各地の税関職員に通達。1月13日には政府当局者が国内テクノロジー企業を緊急招集し「必要がない限り購入するな」と指示した。関係者は「当局の言い回しは非常に厳しく、事実上の禁止措置だ。ただし今後変更される可能性はある」と述べている。

当局は理由を説明しておらず、正式な禁止か一時的措置かも不明だ。米テックメディアのザ・インフォメーションは、大学との共同研究など特別な状況下でのみ承認されると報じており、研究開発向けの例外措置が議論されているとの情報もある。中国税関総署、工業情報化部、NVIDIAはいずれもコメント要請に応じていない。

国産半導体育成と米中交渉の行方

中国がH200輸入を制限する背景には国産AIチップ育成がある。ブルームバーグによると、Huaweiは2026年にAscend 910Cの生産を約60万個に倍増させる計画だという。

ただしCFR(外交問題評議会)の分析では、H200を上回る性能を持つチップ(Ascend 960)の量産は2027年第4四半期以降になる見通しで、技術格差は依然として大きい。CFRのクリス・マクガイア上級研究員はロイターに「北京は米国がAIチップを売りたがっていると考え、ライセンス承認と引き換えに譲歩を引き出すレバレッジを持っていると信じている」と分析。4月のトランプ訪中を前にした交渉戦術との見方もある。

一方、ホワイトハウスのデービッド・サックスAI担当は先端チップ輸出が中国競合企業の開発努力を削ぐと主張しており、どちらが利益を得るかは議論が分かれている。

 

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