台湾の安全保障関連の民間団体が27日、中国による台湾への浸透工作をテーマにした座談会を開催した。自由時報が同日報じた。
淡江大学の沈明室副教授は、中国のスパイ工作の手法が大きく変化していると指摘した。従来は高級将校をターゲットにしていたが、最近では中堅将校や下級兵士に移っているという。沈氏は最近発覚した事件を例に、「中国は従来のような軍事情報の収集だけでなく、台湾侵攻時の協力要員確保に重点を置いている。降伏を約束させたり、士気を低下させる動画を撮らせたりするなど、いわゆる『北平方式』を採用している」と説明した。また、協力者を獲得する動機として、「イデオロギーだけでなく、金銭的誘惑、個人的弱みへの脅迫、社会への恨みなどが利用されている」と警告した。
北平方式とは、1949年に中国共産党が北京(当時の北平)を無血占領した際、内部工作によって国民党軍の戦意を喪失させ、抵抗させずに降伏させた手法を指す。
台湾安保協会の何澄輝副秘書長は、ウクライナでの事例を紹介しながら、新たな脅威について説明した。「ロシアはインターネットを通じてアルバイト感覚で若者や高齢者を募集し、GPSの座標を記録させたり、通信設備を破壊させたりしている。国家への忠誠心がない人々が、知らず知らずのうちに、あるいは何とも思わずに協力してしまう」。何氏はこうした手法を『ギグワーカー型の内通者』と呼び、台湾でも同様の危険性がある」と指摘した。さらに宗教施設が「魂の戦場」となっており、ロシアがウクライナ国内の教会組織を情報拠点やスパイ網に変えた実例を挙げ、注意を促した。
世新大学の劉玉皙副教授は、内通者対策として疑心暗鬼になるの逆効果で、「それこそが敵の心理戦の狙いだ」と強調した。劉氏は市民による自主防災組織の育成を提唱し、訓練と役割分担を通じて軍や警察、消防と連携できる体制を整え、市民一人ひとりの対応力を国家の防衛力につなげるべきだと述べた。
専門家らは、台湾政府が進める「台湾の盾」と呼ばれる防衛構想について、ミサイル防衛だけでなく、こうした複合的な脅威への対策も含めるべきだと訴えている。

