中国中央軍事委員会は2025年2月20日、軍人の体力基準などを示した「軍事体育訓練大綱」を全面改定し、全軍に公布した。主管する中央軍事委員会訓練管理部によると、今回の改定は従来の「健康的な体力」から「戦闘的な体力」への転換を図るものとされている。解放軍報が3月19日に伝えた。
「軍事体育訓練大綱」は人民解放軍における体育訓練の根拠および基準となる重要文書だ。今回の改訂は、軍の戦闘準備の必要性に焦点を当て、兵種・部隊の実情を考慮して、訓練内容と基準体系を再構築するもの。任務主導・作戦支援を強調し、科学的訓練・負傷防止を重視するとともに、実戦化のレベル向上に力を注ぐ方針を示している。
戦闘種目を細分化した新基準
人民解放軍の体力検定基準は従来、全ての軍人の共通検定と専門に合わせた選択種目の二段構えだった。2010年代の資料によると、共通検定では腕立て伏せ、腹筋、10mシャトルラン、3km走の4種目が必須で、これに専門別種目が加わっていた。
新大綱に基づく検定は「関連知識」「共通基礎種目」「戦闘種目」「専門別技能」の4種類とされ、従来より細分化されている。解放軍報などの報道から、戦闘的な科目が増加していると推定される。例えば歩兵部隊では、白兵戦を意識した「シャベル投擲」や「ナイフ投擲」が種目化されている。ロケット軍や高地勤務者向けの専門シラバスも新たに策定された。
また職域別の体力訓練要領も示されており、各部隊では業務中の体力訓練が義務づけられた。解放軍報は、潜水艦でも全乗員が体力錬成を行ったと報じている。
若年層の体力低下も背景に
新大綱の目的は、実戦化に向けた取り組みと若年層の体力低下への対応である。
近年、中国でも若年層の体力低下が指摘されており、特に10代の肥満が約2割を占めるという統計がある。中国政府は2016年から「健康中国2030」プロジェクトを開始しており、学齢期の体力テスト優秀者の割合を25%以上に引き上げる取り組みを進めている。
人民解放軍への入隊希望者は、約1ヶ月の「役前教育」で体力テストを受け、現役軍人より2割ほど低い基準への達成が求められている。近年は体力基準に到達できず入隊できない若者が増加しているようで、解放軍報でも肥満の軍人のダイエット成功記事が報じられるなど、軍内部で問題視されている可能性が高い。
