Title: South Korean Expert Analyzes AI’s Growing Role in Espionage — From Intelligence Analysis to Targeted Killings and Influence Operations
Summary: Professor Bae Jeong-seok of Sungkyunkwan University contributed a column to South Korea’s Defense Daily analyzing how AI is transforming espionage. He details AI applications in intelligence analysis, state-sponsored cyberattacks, surveillance using facial and gait recognition, targeted killings including the 2020 assassination of an Iranian nuclear scientist, and AI-driven influence operations. Bae warns that dependence on foreign AI risks data leakage, service disruption, and deception, urging South Korea to develop sovereign AI for national security and retrain intelligence personnel for the AI era.
成均館大学校国家戦略大学院の裴正錫兼任教授は1月18日、韓国軍の機関紙「国防日報」に「人工知能スパイ時代」を寄稿した。裴正錫教授はAI(人工知能)がインテリジェンス活動のあらゆる局面に浸透しつつある現状と、各国の情報機関が直面する課題を包括的に論じている。
情報分析からターゲット・キリングまで
裴教授がまず指摘するのは、AIの導入が最も進んだ領域が情報の「分析」であるという点だ。膨大なデータの海から価値ある情報を抽出し、一見無関係なデータ群を結びつけて新たなインテリジェンスを生成する。とりわけ従来は長時間を要した分析作業をAIが短時間で処理することで「極端な効率性」が実現されていると述べる。
同時に、AIは攻撃的な情報活動にも深く浸透している。国家支援型サイバー脅威アクターによる大規模サイバー攻撃では、攻撃目標の分析やハッキングツールの開発にAIが動員され、効率を飛躍的に高めている。監視活動においても、顔認証や歩行パターン認識によって対象者を特定し、行動パターンを分析して尾行・監視を容易にする。裴教授は、顔認証技術で先行する中国がすでに北京の大使館街で外国の情報要員を識別・追跡していると指摘した。
注目すべきは、暗殺任務へのAI活用にも言及している点だ。2020年にイスラエルがイランの核科学者モフセン・ファクリザデを暗殺した際には、無人ピックアップトラックに搭載した遠隔操作式機関銃がAIによる顔識別で精密射撃を行い、隣の座席にいた妻は無傷だったとされる。
裴教授はさらに、顔認証と行動予測アルゴリズムを搭載した超小型AIドローンが群衆の中から目標を識別し、自動追跡後に接触爆発して「標的除去」も技術的に可能であると論じた。学術界では心臓ペースメーカーやインスリンポンプなど医療機器へのAI基盤ハッキングによる間接的暗殺手法への懸念も示されているという。
影響工作と「ソブリンAI」の死活的重要性
裴教授が特に紙幅を割いたのが、AI時代の影響工作と国産AI、いわゆる「ソブリンAI」の確保である。
影響工作の領域では、サイバー空間とSNSを通じた世論操作にAIが投入され、世論分析やコンテンツ生成に活用されている。英国MI6のブレイズ・メトリウェリ新長官は、2025年12月の就任後初の演説でAI・バイオテクノロジー・量子コンピューティングと伝統的諜報活動の融合を強調しつつ、「アルゴリズムを活用して偽情報を拡散し、共同体を分断し現実を歪曲する」影響工作の深刻さを訴えた。
もう一つの核心的論点が、ソブリンAIの確保だ。裴教授は、AIを活用すること自体が情報の流出リスクを伴うと警鐘を鳴らす。
2025年に中国が生成型AI「DeepSeek」を発表した際、OpenAIのサム・アルトマンCEOが米国人のDeepSeek使用を阻止するようホワイトハウスに進言したこと、またGoogleやOpenAIが外国情報機関による自社AI(Gemini、ChatGPT)の利用事例を公開したことを、情報流出リスクの証左として挙げた。
情報機関の業務を外国製AIに依存すれば、情報流出のみならず、危機時にサービスが遮断されたり、欺瞞工作に利用されたりするリスクがある。裴教授は韓国がソブリンAI開発が可能な数少ない国の一つであるとしたうえで、民間企業との協業による国家安全保障分野のAI開発に総力を挙げるべきだと主張。加えて、AIが情報要員を代替するのではなく、AIをより効果的に活用できる情報要員が求められるとし、職員の再教育の緊急性を強調した。

