ロシア連邦保安庁(FSB)は1月15日、モスクワ駐在の英国外交官ギャレス・サミュエル・デイヴィス氏(45歳)を英国情報機関の潜入工作員と認定し、2週間以内の国外退去を命じた。同氏は在モスクワ英国大使館の2等書記官として公式に登録されていた。ロシア外務省は英国臨時代理大使ダネー・ドリアキア氏を召喚して正式に抗議し、「モスクワは英国情報機関の非公表工作員の活動を容認しない」と声明で強調した。
これに対し英国外務省はロシアの主張を「悪意に満ちた根拠なき告発」と即座に否定。「英国外交官のターゲット化は絶望の表れであり、外交使節団運営の基本的条件を損なう行為だ」と非難し、対抗措置を検討中と発表した。2024年以降、ロシアは少なくとも9名の英国外交官をスパイ容疑で追放しており、英国政府は各事案で疑惑を否定し報復措置を講じてきた。ロシア外務省は今回も英国が報復に出れば対称的に対応すると警告している。
両国関係は2018年の元スパイ・スクリパリ毒殺未遂事件以降急速に悪化し、2022年のウクライナ侵攻後、英国がキーウの最大支援国の一つとなったことで対立は決定的となった。プーチン大統領と英国首脳が最後に会話したのは侵攻直前の2022年2月、当時のジョンソン首相との電話会談とされる。西側情報機関幹部によれば、FSB、SVR(対外情報庁)、GRU(軍事情報機関)は欧州全域でサイバー攻撃や破壊工作を展開。一方ロシア側はCIA、MI6、仏DGSEが工作員勧誘と機密窃取を活発化させていると主張する。冷戦期を彷彿させる情報戦の激化は、ウクライナ紛争の終結が見通せない中、さらにエスカレートする可能性が高い。

