共同通信は9月26日、中国当局が2025年7月に反スパイ法違反でアステラス製薬の日本人社員に実刑判決を言い渡した直後、中国政府高官が日本の経済界有力者と会い、日本企業に「スパイ活動」をしないよう警告を発していたと報じた。複数の日中関係筋への取材に基づく独自報道で、日本政府を通さず経済界に直接伝えるのは異例だという。
アステラス製薬の60代男性社員は2023年3月、帰任直前に北京で拘束された。中国日本商会の副会長も務めたベテラン駐在員だが、具体的な容疑内容は非公開のまま2年以上拘束され、2025年7月16日に北京市第2中級人民法院で懲役3年6か月の実刑判決を受けた。
中国は2014年に反スパイ法を制定。同法違反の疑いでこれまでに少なくとも17人の日本人が拘束されており、現在も5人が拘束状態にある。2023年7月の法改正で規制範囲が拡大されたが、スパイ行為の定義が曖昧なため、中国当局による恣意的な法運用への懸念が根強い。
中国外務省は「反スパイ法などの法律に違反しない限り、自由な企業活動が保証される」と説明してきたが、実刑判決と今回報じられた警告により、在中国の日本企業関係者の間では不安が広がっている。何が「スパイ活動」に該当するか不明確な状況は、日本企業の対中ビジネスに影響を与え続けている。
