Title: North Korea Opens 9th Party Congress — Kim Jong Un Declares Nuclear Status “Irreversible” Amid U.S. Policy Shift
Summary: The 9th Congress of the Workers’ Party of Korea opened on February 19, with Kim Jong Un emphasizing North Korea’s “irreversible” status as a nuclear state. This follows the Trump administration’s National Defense Strategy, released January 23, which notably omitted any reference to North Korean denuclearization. Key issues include shortfalls in economic and defense plans, succession arrangements, and adoption of a new five-year defense plan.
2月19日から朝鮮労働党第9回大会(以下「党大会」)が始まった。金正恩氏による開会挨拶が行われ、会場の4.25文化会館には5千名の代表者と2千名の傍聴者が参加した。朝鮮中央通信(KCNA)が20日報じた。
党大会は、党規約に基づき5年毎に行われる党の最高意思決定機関。2021年の第8回党大会では国家経済発展5か年計画とともに、北朝鮮で初めての防衛力整備計画である国防科学発展及び武器体系開発5か年計画(以下「国防5か年計画」)が採択された。北朝鮮は同計画に基づき、核・ミサイル開発を強力に推進してきた。これら計画の進捗状況と今後の計画の内容に注目が集まっている。
第8回党大会同様に1週間程度の日程で行われ、新たな国家経済発展5か年計画と国防5か年計画を採択するものと見られる。また、党大会の直後、平壌市内で大規模な閲兵式(軍事パレード)が開催される可能性がある。
開会挨拶から読み解く
党大会の議題は①朝鮮労働党中央委員会事業総括報告②朝鮮労働党規約改定について③朝鮮労働党中央指導機関選挙――の3つで、2日目の20日から金正恩氏による事業総括報告が始まった。

これに先立って行われた金正恩氏の開会挨拶から、次のような北朝鮮の現状認識や課題などが読み解ける。
第一は、核保有国としての地位を改めて表明したことだ。
金正恩氏は「対外的に見ても、国家の地位を不可逆的に堅固に打ち固めることによって、国際社会と我が国家に及ぼす影響に大きな変化をもたらし、それによって我々の社会主義建設をより力強く推し進める上で有利な情勢と環境も整いました」と述べた。
これまで国際社会は北朝鮮の非核化で一致していたが、1月23日に公表されたトランプ政権の国家防衛戦略(NDS)は非核化に言及しなかった。金正恩氏が核兵器という言葉を使わずに、核保有国の地位は「不可逆的」と強調した背景には、米国が北朝鮮を事実上の核保有国として認めた方針転換が大きく影響していると考えられる。
第二は、国家経済発展5か年計画と国防5か年計画の進捗が思わしくなかったことだ。
金正恩氏は2つの計画について、「党、政権機関と幹部の活動には根深い敗北主義と無責任な姿勢、保守主義と形式主義、指導力の未熟さなどの深刻な欠点や否定的要素が少なからず内在しており、これは、各分野での急速な発展を志向するわが党と国家の活動を妨げる人為的な障害となっています」と責任転嫁し、「非常設党大会準備委員会」を設置して各種機関に対する調査を実施したことを明かした。
他方、金正恩氏は20日に始まった事業総括報告(21日付KCNA)で、「第8回党大会が決定した各分野の5か年計画が成功裏に完結」と一見矛盾する発言をしている。人為的な障害の具体的な内容と克服の経緯など、以降の報告で明かされるだろう。
第三は、金正恩氏の後継・補完体制が検討されたことだ。金正恩氏は「党規約の改正に関する問題、党の指導陣容を整備する問題をはじめ新時代の5大党建設路線の要求に即して党の指導的機能を一層強化する上で提起される問題について深みのある研究が行われました」と述べた。
ここで登場する「新時代の5大党建設路線」とは、2022年12月に開催された朝鮮労働党中央委員会第8期第6回全員会議拡大会議で議論されたもので、政治・組織・思想・規律・作風建設を指す。国家経済発展5か年計画と国防5か年計画の進捗を確実なものにするため、計画推進の土台となる党建設にも注力していた。
「党の指導的機能を一層強化」とは、金正恩氏の指導力発揮を補完することを意味する。第8回党大会では総書記を代理する「第一書記」が設けられたが、未だ就任が公表されていない。金正恩氏の娘、ジュエ氏の最近の動向から、第一書記の任命やジュエ氏の公職就任など後継・補完体制が検討された可能性がある。
経済重視の裏に見える政策の揺れ
開会挨拶のトピックは上述のとおりだが、その内容のほとんどは経済建設に関するものであり、軍事と対外関係についてはほとんど言及していない。そこから経済重視の姿勢がうかがえるが、発言の詳細を見ていくと政策の揺れが見えてくる。
2016年の第7回党大会で国家経済発展5か年戦略が採択され、第8回党大会では「戦略」から「計画」に具現化された。しかし、開会挨拶では国家経済発展5か年計画に言及していない。代わりに使われた言葉が「人民経済発展5か年計画」だ。金正恩氏は「社会主義建設の基本部門である経済分野において人民経済発展5カ年計画が基本的に完遂」と述べている。
第8回党大会の結論で「新たな国家経済発展5ヵ年計画」と明言していたものを「人民」と置き換えたことは、単なる表記の揺らぎではない。非軍事の経済分野は基本的に成功を収めた一方、国防面では駆逐艦の転覆事故、原子力潜水艦の進水が確認されていないこと、核実験も行われなかったことなど、重要課題での未達成が目立つ。
いずれにしても、前回同様に北朝鮮は新たな国防5か年計画の詳細を公表することはないだろうが、軍事力の強化が継続されることは党大会前日の動きが物語っている。
2月18日、党大会が開かれる4.25文化会館で600㎜超大型ロケット砲の贈呈式が行われた。式典では50両(計250発)を確認できるが、KCNAは2か月で50門を増産すると伝える(注)。北朝鮮は、同砲の飽和攻撃で韓国の軍事施設を壊滅させ、戦術核を搭載したロケットがAIと複合誘導システムにより目標を打撃すると主張している。

2月18日、600㎜超大型ロケット砲贈呈式(KCNA)
贈呈式で金正恩氏が「(党大会で)こうした成果に基づいて自衛力建設の次の段階の構想と目標を打ち出すようになります」と指摘したように、第9回党大会は新たな国防5か年計画とともに、経済建設と軍事力強化のバランスをどう打ち出すかが最大の焦点となる。
トランプ政権のNDSが北朝鮮の非核化に言及せず、韓国に抑止の主たる責任を求める方針を示したことで、金正恩氏はこれまでにない「追い風」のなかで党大会に臨んでいる。事業総括報告の全容と党規約改定、そして閲兵式で公開される新兵器の内容が、北東アジアの安全保障環境を左右することになるだろう。
注:増産される50門が車両50両を意味するのか、ロケット砲50門(1両5門で10両)を指すのか不明。

